私どもが神奈川や東京など「京浜地域の活性化」の一環として航空宇宙部品産業を取り上げて3年になります。全国各地の取り組みの交流を目指した全国大会を昨年10月と本年4月に横浜で開催しましたので、こうした地域での取り組みがようやく全国的にも注目を集めるようになりました。元気な中小企業の動きとして全国紙にも度々取り上げられるようになりました。こうした中で本年度(平成18年) 経済産業省関東経済産業局が調査事業として「宇宙機器産業」に取り組むことになりました。昨年度は「光産業」分野で、 312頁の報告書が刊行されています。調査事業は日本自転車振興会の補助事業として行われるもので、実施機関は局の関連団体として古くからある「㈶広域関東圏産業活性化センター(GIAC)」が行いますが、企画等は実質、関東経済産業局が行い、さらに具体的な作業はGIACからの委託で、三菱UFJリサーチ&コンサルティング�蠅�行います。
調査委員長は、この分野の第一人者である東京大学の中須賀真一教授。委員には、まんてんプロジェクトの全国会議に参加した経験のある地域╶╴茨城・栃木・長野(諏訪)・静岡(浜松)の関係者が多数連ねています。またJAXA((独)宇宙航空研究開発機構)の石塚産学連携部長、㈳航空宇宙工業会の堀井技術部長、まんてんプロジェクトからは山内社長と私が委嘱されました。
調査の目的として「宇宙機器産業に参入し自らの力で新たな取引先を獲得できるような企業を多数輩出する流れを促すために、進出のための要件や効果、課題等を明らかにし、中小製造業の競争力の強化や地域産業振興に資する道筋を示すこと」と掲げています。すでにヒアリング調査対象として委員企業のほか20社の企業名が候補として挙がっていますが、まんてんプロジェクトの活動が調査のひとつのきっかけともなったのは事実です。 報告書の提言方向としては、私どもが考えている「航空宇宙業界では一定の技術力や品質保証態勢がなければ困難」というような問題意識の中で、これからの中小製造業の振興を考える、ということになりそうですが、。課題は宇宙機器産業に絞った場合、日本での市場が小さいということです。現在改めて「日本のものづくり」が大変重要視されている状況下、宇宙機器産業にも光を当てるということは良いことですが、その普及方向として果してどこまで発展的な提案が可能かどうかが鍵となりそうです。ものづくりは市場が大きくならなければ中々発展しません。いくら技術力と言っても応用する範囲が狭ければ、中小製造業への波及効果が小さいということになりかねません。宇宙だけでなく、航空分野も見据えての指針づくりが必要でしょう。
同時に地域政策としても注目されるのは、第2回まんてん全国会議に出席した同局地域政策課長が、長らく「多摩地域」の活性化を手掛けてきながら、「多摩地域の振興だけでなく、“京浜”地域を考える」と言っており、新たな京浜地域活性化の方向性を探る意味で重要です。宇宙部品産業の配置が名古屋圏に傾斜する中で、関東圏での巻き返しがどうなるか大変興味のある試みです。
一方、この調査とは別に、異グ連(神奈川県異業種グループ連絡会議)が新規受託事業として行う予定の調査事業があります。私の勤務先でもある関東学院大学が5年計画で文部科学省の補助事業として行う「グローバリゼーションの進展と地域産業基盤の活性化に関する研究」です。研究は三つのプロジェクトに分かれており、�ー�動車部品産業の国際競争力と地域産業基盤に関する研究�⊃斉狎邯�産業基盤の国際競争力と地域イノベーションに関する研究��グローバル化に伴う経済システムの変容と地域産業の対応に関する研究です。このうち第二プロジェクトの「研究開発型企業育成プロジェクト」研究が異グ連で担当することとなりました。具体的には、すでに「まんてんプロジェクト」自身が着手している、プロジェクトメンバーの「技術力向上」支援活動を、改めて「調査とコンサルティング」として位置づけ、5年間に技術力を「向上」させた企業数を調査研究の「成果」として捉えようとするものです。一般に大学の調査研究事業の成果物は報告書や論文・著書等になりますが、私どもの調査プロジェクトでは具体的な企業数として表すことを目論でおり、社会的効果は大きいと言えます。もともと本調査事業は文部科学省の「社会連携調査事業」として位置づけられていますので、地元自治体との協力関係が欠かせません。神奈川県当局は商工労働部の産業活性課が第一プロジェクトを、工業振興課が第二プロジェクトを応援することとなりました。もちろん横浜市や横浜商工会議所等の協力も取り付けていますが、近年財政難のため、ややもすると地元の産業調査活動が不十分な実状の中で、関東学院大学の取り組みはタイムリーと言えます。第二プロジェクトはまた、東京都や同中小企業振興公社職員の連携も図りながら実施する予定ですので、図らずも関東経済産業局の調査事業とも重なり、相乗効果を挙げることが期待されます。
さらに異グ連は本年度の重要イベントとして、(独)中小企業基盤整備機構と㈶中小企業異業種交流財団の補助事業を活用した「まんてんプロジェクト関東大会」を企画しています。これまでの全国大会による一定の経験交流は重要でしたが、今度は自らの足元を固め、実際の受注態勢の強化と会員拡大のステップにしようとする狙いです。また同時に関東地域(甲信越静を含む╶╴関東経済産業局の管内)の異業種交流活動や異グ連などの連合体の活性化にも貢献させる狙いがあります。従って本年は「宇宙づくし」の年になりそうです。ついでに異グ連のもう一つの委託事業である内藤科学技術振興財団の講演セミナーも、「科学技術とものづくり人材」と題して、宇宙研究と現場のものづくりとの協力関係をテーマにしようかと考えています。各種事業を思い切って集中させることにより、社会的反響を呼びたいという目論見です。果して成果はどうか?。
週刊「行政施策」2006年9月11日
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